第27章 私の、気持ち…?
焦凍くんと、バチっと視線が合った
『焦……』
上空から地面に降り立つと
ついいつもの癖で
“焦凍くん”、と呼びそうになる
けど、目の前のヴィランを見て
何の為に変装していたのかを思い出す
『…大丈夫か、あのヴィランと戦ってんだろ、俺も手伝う』
それっぽい口調で二人に声をかけると
出久くんが不思議そうな顔をした
「君は…」
焦凍くんと出久くんは、
目の前にいる男の正体が
私だとは気づいていないはず
『……ただの、通りすがりの者だ。』
出来るだけ声を低くして
焦凍くんと出久くんに背中を向けた
私目の色は特徴的だから
多分、じっと見られたら
二人にもバレてしまう
まぁ、二人にバレる分には別にいいんだけど…
多分二人にバレると男の子演じるの
恥ずかしくなってきちゃって
絶対素がでちゃう気がするから
極力バレたくない。
『君の氷と俺の水で遠距離から、後の二人は近距離で攻撃。で、近距離の二人は同時に一気に詰め寄る。これが最適解』
「分かった、それでやろう」
通りすがりの人という設定の
私に指示されたにも関わらず
3人はすぐに理解してくれた
私はもう一度波に乗って空中に止まると
大きな水流でヴィランを壁に打ち付ける
焦凍くんの氷で逃げ場を封じ、
あとは出久くんと飯田くんでトドメ!!
『………。』
4人で力を合わせたら意外と
ヴィランはすんなりとダウンしてくれて
その場で気を失っているようだった
ふう、と一息つくと
突然強い風が吹いてきて
『わっ…!?』
見事に足を踏み外した
そして私は今空中にいる
つまり、
『お、落ちるっ!』