第26章 職場体験と波乱の幕開け
–No side–
『……ねぇ啓くん。』
「んー?」
少しの間二人は
黙って夜景を眺めていたけど
視線は街に向けたまま
あくあがホークスの名前を呼んだ
『昔も、今も…私のことを気にかけてくれるのって、本当に誰かから命令されただけじゃないの?』
「心配しなくても、俺の意思だよって最初に言ったでしょ」
『だって、よく考えてみて?人気プロヒーローのホークスがこんな私をわざわざ気にかけたところでメリットなんて一つもないじゃん』
啓くんはいつも困った時に助けてくれる、
だからつい頼ってしまう、
だけど迷惑はかけたくない、
これがあくあの本音だ。
「別にメリットなんて必要ないんだけど…俺がしたくてしてる事だし。そうだなぁ…あくあの事が大切だから、って理由じゃ駄目?」
『………たい、せつ…?』
ホークスは優しい笑みを浮かべてそう言うと
あくあの心臓が大きく脈打った
あくあがずっと、避けてきた言葉
「この際だから言うけど、俺のこと本名で呼ぶ事許した時点であくあはもう俺にとって特別な訳。だから変な心配しなくていい」
ホークスはあくあの頭をポンと撫でた
彼は嘘をつくのが上手い、けど
今のこの言葉は本心なんだと、
あくあには何となく分かった