第26章 職場体験と波乱の幕開け
–あくあside–
優しい笑顔向けてくれるところとか
困ったら絶対協力してくれるところとか
さっきだって上着貸してくれて
気がきくところとか
ほんと、出来た男だなって思う
プロヒーローなんだから
これくらいの事は当たり前なんだろうけど
それでも、
その優しさについ頼ってしまっていた
私の周りにいる人たちは、
本当に良い人ばかりだ
最近は個性の特訓をしなくなって、
長い事会ってなかったし
雄英高校に入ったから
学校外で特訓する事も減って
もう個人的に啓くんと会う事は
ないだろうなと思っていた
そしたら職場体験で受け入れてくれる
ことになったけど、
どうしても、私がいることで
迷惑をかけていないかが心配だった
だけど、聞かなきゃよかった気がした
大切…?
特別……??
何でそんなにサラッと、この言葉を言えるの?
「あくあ、大丈夫?顔色悪いよ?」
“大切“って、そんな簡単に言える事なの?
私には、私には…!!!!
「あくあ!!!!」
『っ…!』
啓くんに名前を呼ばれてハッと顔を上げた
「ほんとに大丈夫?」
『…あ…え、っと…ごめん、私、部屋戻るね!』
「あくあ…!」
ボソッと、啓くんには聞こえない声量で
“ありがとう“と呟いて
そのまま屋上から建物に戻った
『なんか私、逃げてばっかだな…』
用意された自分の部屋に戻って
ベットに横になると
疲れていたせいか、
すぐに眠ってしまった