第26章 職場体験と波乱の幕開け
「言っておくけど、人から頼まれた、とかじゃないからね?」
『…え?』
啓くんの言葉を聞いて、思わず
「私の思考読んだ?」と言いそうになった
「あくあの事だから余計な事考えてるんじゃないかと思って。……確かに1番初めに会った頃は頼まれ事もあったけど、今までの事だって俺の意思だし、今回あくあを呼んだのも俺の意思だよ」
『……それ、本当?』
「ホントだよ。だからそういう事は気にしなくていい」
ニコ、と優しい笑みを浮かべた啓くん
なんだか少し、気が楽になった気がする
「ってことで早速パトロール行くから、コスチュームに着替えて来てもらえる?常闇くんはあそこの部屋使って」
「分かりました」
「あくあはこっちね。あ、あとコスチュームじゃなくて部屋の中に服とか一式あるからそれ着て」
『よくわかんないけどとりあえず着替えれば良いんだね!』
言われるままに案内された部屋に入ると
机の上に服が畳んで置いてあった
水色のシャツ、白のベスト、
紺の長ズボン、茶色のロングコート、
そして………
『何故、ヴィッグ?』
手にしたのは黒髪のショートカットのヴィッグ
いや、なんとなくパッと見た感じ
おかしいとは思った
とりあえず頭から靴まで一式着てみたけど…
『いや、どう見てもこれ男装じゃん!!なんでこうなった?!』
目の前にあった鏡に映る自分を見て
思わず一人でツッコんだ
「あくあ、着替えれた?入るよ」
『え、ちょっと待』