第25章 ホントは分かっていたとしても
あくあが布団に横になったのを確認すると
轟は自分のケータイから相澤にメールを送る
しばらく静かにしていると
すーすーとあくあの寝息が聞こえてきた
「あくあ…、寝たか?」
轟の問いかけに返事はない
多分もう眠っているのだろう
「…俺、体育祭が終わったら伝えたい事があるって言ったよな」
寝てしまったあくあの方を見ながら
轟は言葉を続ける
「本当に伝えるべきなのか、分かんねぇけど………10年前…、お前、俺にこう言ったよな“君は、君自身なんだよ”って。あの頃の俺にあの言葉の意味は分からなかったけど、…お前はあの時から、伝えようとしていたのか?…。東京崩壊事件、あの時…」
“東京崩壊事件“という言葉を聞いて
寝ているあくあの布団が
一瞬動いたような気がした
「あの時……暴走したお前を止めたのは、抱きしめたのは、俺だ」
『……!!』
そしてあくあはガバッと起き上がった
「あくあ、お前起きてたのか…?!」
『あの時私を止めたのが焦凍くんって本当なの?!』
熱で体調が悪かったはずのあくあは
思わず布団から飛び起き轟の隣に座る
「……本当だ。」
『………そう、なんだ…だからあの時…』
___usjで個性が暴走して
焦凍くんに抱きしめられた時、
懐かしいと感じた。
保健室で初めて会った時も、
初対面じゃないと思った
『……私達、随分前から知り合いだったんだね』
「…そうだな」