第22章 私の知らない幼馴染
『今の電話の相手…たしかに渚沙だった。でも、私の知ってる渚沙じゃない。まるで知らない人みたいで…、なんだか、怖かった』
音も、不安定な、よくない音がした
私は個性で歌を歌うというのもあってか
私の耳は音に敏感みたいで、
人の話す声色に耳を澄ませると
なんとなくだけど感じ取れるものがあって
渚沙の声は、よくない音がする
近づいちゃダメと言われているような、
そんな音。
「あくあ、今の本当に幼馴染なのか?」
『私も…なんだか変な感じはした。けど…やっぱり今のは、私の幼馴染…』
“そのうちまた、会いに行く”
彼はそう言っていた
私のところに、会いに来るってこと…?
それは私にとって嬉しいはずなのに
今はなんだか渚沙に会いたくない
『………ってごめん!次の試合私だったよね、すぐ準備するね!』
色々考えると余計不安になってきて
私は咄嗟に話題を変える
「おい、大丈夫なんか」
『うん、大丈夫だよ!絶対負けないからね!』
後ろから勝己くんに声をかけられたけど
不安を顔に出さないように
若干笑顔を作りながらそう言った
(とりあえず、今は戦闘に集中!!)
自分にそう言い聞かせて
訓練用コートの上に立って
開始の合図を待つ