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【ヒロアカ】泡沫少女の歌声はどこまでも

第20章 そんな事、頼んでないのに


–物間side–


「物間」


空き教室の隅の方で寝ていた僕は、
自分の名前を呼ばれたのと同時に
ハッと目を開けた。



「あぁ…消太さんか」


目の前には僕と同じ目線に
しゃがんだ消太さんがいた。



「…この様子じゃ、思った通りみたいだな」



“思った通り”というのは多分、
僕の腕の中で静かに寝ている
あくあの事だろう。



「思った通りって…あくあ、相当拗れてましたよ?」


「そうみたいだな。…やっぱりあくあには本音で話せる相手が必要だ」



あくあにとって消太さんは
昔からの長い付き合いで
頼れる数少ない相手だと思っていたけど、
それが逆に裏目に出たのだろうか。

長く一緒に過ごしてきて、
頼れる相手だからこそ
迷惑も心配もかけたくないのかもしれない。



「…僕は、どれだけあくあに拒絶されようとあくあの見方です」

「………。」

「えっ、僕今何か変なこと言いました?!」

「お前って…あくあの事となると性格変わるよな」




「…そりゃああくあは、特別だし」




僕はそう答えながら消太さんから目を逸らし
ちらっとあくあの方に視線をやった。


性格が変わるっていう自覚はないけど…
あくあの事となると
自分が自分じゃなくなるみたいで
想いの強さを再確認させられる。



「とりあえず、昨日話したあの件、至急あくあにも伝えておきたいから二人ともちょっと来て欲しい」



とまぁそんなこんなで
僕は寝ているあくあを抱えて、
今いる仮眠室まで連れてきた訳である。



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