第3章 担任だなんて聞いてない
《ガラッ》
「失礼します!リカバリーガールいらっしゃいます…か…??」
声の主の方を見ると、
保健室の扉を開けた
緑のもさもさ頭の彼と目があった。
(ん…?彼、どっかで見たことあるような…)
『って出久くん!?』
「あくあちゃん!?」
やっぱりそうだ。出久くんだ。
『久しぶりだね?!最近会わないからどうしてるのかなーって思ってたけどまさか同じ学校だっただなんてびっくりだよ』
「僕も驚いちゃった。だって保健室の扉を開けたらあくあちゃんがいるんだもん」
あの日海岸で出久くんと出会ってから、
時々個性で治癒をしてあげていた。
時には一緒にランニングしてたこともあるし、何よりヒーローという夢に向かってあそこまで全力で頑張れる彼が羨ましかった。
「っそうだ、リカバリーガール、治癒をお願いできますか?」
「はいよ。そこにお座り。チユ〜〜〜」
「わっすごい治った…?!けど、なんか疲れがどっと…」
「私の個性は人の治癒力を活性化させるだけ。治癒ってのは体力がいるんだよ。大きな怪我が続くと逆に死ぬから気をつけな」
そう言いながらリカバリーガールは
出久くんにペッツを差し出す。
「逆に死ぬ!!?!」
「そう考えるとあくあの個性はすごく強力なものなんだ。」
リカバリーガールが
何を言い出したかと思えば、
突然私の個性の話になった。
『わっ、私?!…でも…使いすぎるとぶっ倒れるから多くは使えないし、歌わなきゃいけないからな…』
そう、私の治癒の力は
使いすぎるとぶっ倒れる。
使いすぎの基準がまだよくわからないためやったらめったらこの力を使えるわけでは無いのだ。
「それに、あくあの個性はそれだけじゃ無いでしょ?」
「あくあちゃんの個性、治癒だけじゃないの?!」
『えっと、うん…!』
確かに私の個性は治癒だけではない
今まで使わないようにしてきただけで
”歌うと治癒できる個性“というわけではない。