第3章 担任だなんて聞いてない
–あくあside−
雄英高校登校初日。
私はお世話になった消くんの家を出て、この春から1人暮らし。
『いってきま〜す!』
1人暮らしなので返事が返ってくるわけでもないけど、
これは言わないと気が済まない。
元気良く家を出て、わくわくしながら
高校の校舎へ向かい、楽しい学校生活が始める…
はずだった。
『消くんが担任だなんて聞いてないっ!!ちーちゃん、今日は私ここにいる!!!』
別にそれが嫌なわけじゃ無い。むしろ事情を詳しく知っている彼が担任なら好都合のはずだが。今日に限ってはそうではない。
なぜなら彼が担任を持ったクラスは初日に個性把握テストを受けさせられ見込みがないものは除籍という恐ろしい授業が行われるからだ…
「彼はあんたの個性の価値をちゃんとわかってるし、絶対除籍なんかされないから安心しな。せっかく入学初日なのにこんなところにいていいのかい?」
そう言って私をなだめるのは
雄英高校の看護教論:
リカバリーガール。
つまりここは雄英高校の保健室である。
昔からプロヒーローとの関わりがあった私は、雄英高校の教師とはほとんど顔見知りである。なかでもリカバリーガールにはよくお世話になっていた。昔からの癖で私は彼女をちーちゃんと呼んでいる。
(絶対除籍なんかされない、か…)
推薦が来たということを聞いた時は深く考える余裕も無くて分からなかったけど、今思えば大人が考えていることに見当はつく。どうして私に推薦がきたのか。考えればすぐに分かることだった。
『でも、私まだ心が安定してない状態で個性乱発するのは不安だし…、明日はちゃんと出席するから!!今日はここにいさせて…?』
「…はぁー、わかったよ。でも、怪我人が来たらその場所開けるんだよ?」
その場所、とは
私が今座っている保健室のベットの事だ
普通怪我人でも病人でもない私が
いていい場所ではない
『はーい!』
「返事だけは一丁前なんだから…」
《ガラッ》
それから何分か経った後、保健室の扉が開く音がした。