第17章 この感情は、厄介だ
(寝ろって言ったのは俺だけどこんなあっさり寝るとか、どこまでも無防備な奴…)
そんな事を考えていると
何分か経ったところで目の前の保健室のドアが
ガラッという音と共に開かれた
「爆豪、か。意外だな」
入ってきたのは担任の相澤先生。
あくあが言うには
相澤先生とあくあは昔からの知り合いらしい
「あ?意外ってなんだよ」
「…あくあは、そんな簡単に人の肩を借りて寝るような奴じゃない」
相澤先生は保健室に入りドアを閉めると
ベットの横にあった椅子に座る
「は?つまり何だよ。文句言いに来たんか」
「違う。あくあがお前に心を開いてるっていう証拠だって言ってるんだ」
「心を開いている…」
それじゃまるであくあは簡単には
心を開かないって言っているみたいだけど
あくあはクラスの連中とも
普通に仲良さそうに話してたし
そんな風には見えない。
「あくあは簡単に人に甘えたり頼ったりしない。心配かけたくないからって一人で抱え込むタイプだ。そんなあくあが今こうやってお前の肩を借りて眠っている、だから…これからもあくあの事を気にかけてやって欲しい」
あくあが、俺に心を開いてくれている…
頼ってくれている
“みんなと同じ”じゃなく、“俺”に対して。
「言われなくとも初めっからそのつもりだわ。」
あくあは俺に少しでも素を見せてくれていたと知るとなんだか嬉しくて口角が上がりそうになったのを抑えながらそう答えた。
俺は初めからあくあの事は気にかけていた
初めて話した時から、何故が目で追っていて
気づいた時には体が勝手に彼女を追いかけている