第17章 この感情は、厄介だ
–爆豪side−
『……勝己くん…怒ってる…??』
あくあは正面を向いたまま
後ろにいる俺にそう言った。
「……は?」
怒ってるって…なんの事だ?
あくあに対して怒ってる事なんて何もねぇけど…
『なんか、なんとなく…』
「別に何も怒ってねぇよ。……ただ、自分自身にはイラついてる。」
『自分自身??』
あの時から、USJでのあの事件があった時から
俺は自分自身に対してずっとイラついていた
何も出来なかった自分に。
あくあの個性の暴走を止めたのは轟で
その後あくあを
保健室まで運んだのはB組の奴だ
それに比べて俺は何も出来なかった
“俺に惚れさせる”なんて大口叩いておきながら
あくあが困っている時に助けられなくてどうする
「あの時…USJにいた時、俺は何もできなかった」
あくあはなんのことだろうと首をかしげる。
『何もできなかったって、そんな事ないでしょ。
あの時ヴィランに攻撃してたじゃん!』
「でも、その後お前の個性の暴走を止めたのは轟だ」
水の渦の勢いが弱まったあの一瞬で、
あいつは迷わずそこに飛び込んで行った
『…私はそんな事ないと思うよ?私がヴィランに連れて行かれた時勝己くんは助けに来てくれたし…あの時来てくれて私は嬉しかった』