第17章 この感情は、厄介だ
−あくあside−
もう大丈夫!!とは言ったものの
まだネクタイが結べていない。
(あれー…??うまく結べない……)
今までネクタイを結ぶ時は正面に鏡があったから
綺麗にできていたけどこの部屋には
鏡がないため少し苦戦していた。
最初は勝己くんも私がネクタイ結び終わるのを
黙って待っていてくれたけど
どうやら時間がかかりすぎたみたいで
「ネクタイ結べねぇのか?」
と突っ込まれる。
『さすがに私だってネクタイぐらい結べますー!ただ鏡がないからちょっと苦戦してるだけでっ––––––……』
「貸せ」
『わっちょっと!!』
いきなりネクタイを奪われて両肩を
掴まれたかと思えばくるっと回れ右させられた。
『な、何–––…』
「いいからじっとしとけ」
言われた通りじっとしてると勝己くんは
後ろから腕を回して私にネクタイを結びはじめる。
(ネ、ネクタイ結んでくれてるのか…。
突然ネクタイ奪われたから何事かとおもった…)
それにしても……、
(近い……!!)
いや、この前キスされたし
がっつりハグもされたけどそれとこれとは別!!
ちょっと横向いたらキスできちゃいそうな位置に
勝己くんの顔があるし
ネクタイ結んでもらってるだけなのに
後ろからハグされてるみたいだし
落ち着け私。平常心。
『………。』
勝己くん、さっきからずっと無言だけど…
一昨日私が話しかけた時も無言だったし
やっぱ怒ってるのかな…。