第17章 この感情は、厄介だ
−爆豪side−
ついさっき廊下でデクが相澤先生と
話しているのが目に入って
その会話に耳を傾けるとデクは
あくあが目を覚ましたと言っていた
時間的にもうすぐHRの時間だが
HRなんざどうでもいい
考える間もなく俺の足は
無意識にも保健室へ向かっていた。
そこまではいいとして、
そこからが問題。
そのまま保健室の扉を開けると
目の前で着替える
あくあの姿があったのだ。
『…待ってこっち見ないでっ!!』
「あ?…なっ、おま、なんでそこで着替えてんだよ!」
すぐに目を逸らそうとしたけど無理だった
下着姿で自分の制服をぎゅっと抱きしめながら
頬を赤らめるあくあの姿を見て、
目を奪われないやつなんかいるのだろうか。
見るなと言われてもつい見てしまう
いつものあくあと違う表情
いつものあくあと違う雰囲気
初めてあくあが笑いかけて来た時と
同じようで違う感情が俺の中を駆け巡る。
こんな感情を抱くのはただあくあが
可愛いからってだけじゃねぇ
あくあは元々整った顔立ちをしているし
世間一般的に見ても可愛いという枠に入るだろう
けど、この感情はきっと俺があくあに
惚れているからこそのものだ。
あくあに後ろを向けと言われたから
しぶしぶ顔を背けながらそんなことを考えていた
「あくあ、もうそっち向くぞ」
『う、うん!もう大丈夫…!』