第15章 暖かくて、懐かしい。
−no side−
轟は背中を向け
離れていこうとしたあくあの
左腕を掴みぐいっと強く引っ張った
反対の手であくあの頬に触れると
そっと顔を近づける。
あくあ……
俺は、ずっとお前を探していた
何年も前に、
たった数分話しただけの1人の女の子
今回の事で確証が持てた
きっとあくあは
もう覚えてないだろうけど…
「あくあ、_____________ 」
あくあに聞こえないであろう声量で
轟がボソリと何か呟く。
そしてそのまま困惑したままのあくあに
触れるだけのキスをした。
すると、周りを囲んでいた渦が一瞬で消え去り
嵐のように荒れていたUSJ内は静まり返る。
「おさ、まった…のか?」
「そうみたい…??」
周りから声をかけ続けていたクラスメイト達が
「よかった」と
やっと落ち着いて一息ついたかと思うと次は
「ってかあいつ海波にキスしてなかった??」
「それな!!個性から意識を離れさせるためとはいえ…イケメンだよな…」
「轟…羨ましい奴め……」
さっきまでの重い雰囲気はどこへ行ったのやら
でもそれもまたA組の良い所
あくあにとっては深刻な顔をされるより
明るくいてくれた方が何倍も楽だ
あくあの姿が見えるようになったので
個性の暴走はおさまったみたいだが念のために
相澤があくあの個性を消した。
そしてそのままあくあの元へ飛んでいく