第15章 暖かくて、懐かしい。
-轟side-
「あくあ…」
どうすればあくあを止めてやれるだろう。
俺ならあくあを止められるかもなんて
大口叩いておきながら
実際はそう上手くはいかなかった
悩んでいるうちにも
一瞬弱まったかと思ったあくあの個性は
また威力を増し始めている。
(前はすぐにおさまったのにな…)
『お願いだから離れて!!もう誰も怪我させたくないの…!』
「離れたとして、じゃあお前はどうするんだよ!個性を制御できねぇんじゃねえのか?」
『それは……』
“ もう誰も怪我させたくない”
そう叫んだあくあの
辛そうな表情を見たのは
やっぱりこれが初めてではなかった
雄英高校に入学して、
保健室であくあと出会って、
話していくうちに
あくあの瞳はいつもまっすぐ
どこかを見つめているような気がしていた。
ずっと一点を見ているとか
そういうのじゃなくて、
なにか強い意志を持っているような
そんな目だった。
でも今のあくあの瞳は、
まっすぐどこかを見つめているわけでもなく
震えているかのように揺れて見える
その水色の綺麗な瞳は、
まるで、荒れた海が波打っているみたいで
あくあが発する言葉とは裏腹に
“ たすけてほしい”
俺にはそう言っているように見えた
「…そんな顔してるお前を放っておけるわけねぇだろ」
あくあの意識を
個性から離れさせるには…