第15章 暖かくて、懐かしい。
その時、隣にいた緑谷が大声で叫んだ
「あくあちゃん!!落ち着いて!!」
「流石にそれは無理が…」
(((!?)))
見間違いじゃない、
今一瞬だけ渦の威力が弱くなった気がする
「こいつ、個性が効くようになってる!」
個性での攻撃が全く通用しなかった龍にも
攻撃する事ができるようになっている
緑谷が声をかけた今の一瞬で
あくあの個性は乱れた、
つまり暴走が弱くなったのだ。
「…あくあ!!」
「海波、落ち着けよ!」
「あくあちゃんしっかりして!」
皆んながあくあに必死で呼びかけると
渦が止まった訳ではないが
徐々に威力が落ちてきているように見える
俺の記憶が間違ってなければ
見当違いじゃなければ、
あくあを止められるかもしれない
「相澤先生…!」
「何だ、轟」
「10年前の、あの日……」
俺は下を向いたままそこまで言ってから、
相澤先生の目をまっすぐ見て、
もう一度口を開く。
「俺ならあくあを止められるかもしれない」
俺は渦の威力が落ちる一瞬を狙って
中に飛び込もうと氷を生み出し
その上を滑るように渦に向かっていく
「待て轟!!10年前…お前、もしかして…」
相澤先生の言った
そのもしかしてが合っていれば、
きっとあいつを止められる。
「あくあ!!てめェ…絶対無事でいろって言ったよな!!」
爆豪が呼びかけた時、
目の前の水の流れが大きく揺らいだ。
その一瞬で俺は氷を生み出しながら
その渦の中につっこんで行く。