第15章 暖かくて、懐かしい。
『うっ…………』
中央の広い場所に
降り立ったあくあの頭に
もう一度強い痛みが走った
それと同時に、
あくあを中心に囲むように
大きな水の流れが渦巻いて発生する。
あくあに駆け寄ろうとしていた
クラスメイトたちの前には
大きな渦の水の壁ができ、
その水圧と風圧で視界を阻まれてしまった
「うおっ?!何これ?!」
「水?!何で?!」
一歩前に進めば
渦に巻き込まれてしまいそうな
目の前の水の渦を見て
その場にいた者は一気に騒がしくなる
「でも、これじゃあくあちゃんこの渦の中にいるんじゃ…?!」
「っ早く助けないと…!!」
あくあが渦の方向に
行ったのを見ていたクラスメイトは
早く助けないと!と必死になる
それもそのはず、
この渦を誰が作り出しているかを
知らないのだから。
「待て!!!」
あくあを助けようと勢いで渦の中に
飛び込もうとした生徒を相澤が止めた。
あくあの治癒で
怪我はだいぶ回復しているものの
まだ立っているのも辛そうだ。
「どうしてですか!?相澤先生!!」
「………あの渦を創り出しているのはあくあだ」
相澤がそう言ったのと同時に
水の勢いがどんどん増して、
立っているのもままならないぐらいの
風が吹き付ける。
少しでも力を抜けば
そのまま後ろの壁にぶつかるまで
吹き飛ばされてしまうだろう
「なにこれっ…吹き飛ばされそうっ…」
「えっと、つまり…どういうことなんですか?」
「あくあの個性が、暴走を始めたんだ」
「は…?暴走ってどういう事だよ」
それを聞くと先程まで
黙っていた爆豪が口を開いた
「何年も前にも一度、こういうことがあったんだよ。…とにかくあの渦に飛び込むのはやめろ、プロヒーローでも大怪我する威力だ。」