第14章 10年越しの歌声
−爆豪side−
突然聞こえてきたあくあの歌声。
屋上で聞いた時よりも
何倍も綺麗な歌声だ。
さっきまでのヴィランに
イラついていた気分が
どんどん楽になっていく
なんであいつの歌を聞くと、
こんなにも心があったかく、楽になるんだろう
歌声の主、あくあの元へ辿り着くと、
あくあは倒れた相澤先生の隣に座り
歌うことだけに集中しているようだった。
あくあの周りに黄色い光が集まり始めて
次第にその光は
相澤先生の元にも集まっていく。
そして今起きたことを目にした俺は、
いや、その場にいた者達は目を見開いた
「「「…?!」」」
黄色い光に包まれた相澤先生の怪我が
どんどん綺麗になっていく
それに伴って、
大怪我をしていた13号先生や
周りのクラスメイトたちの怪我も
その光に包まれて、
どんどん元通りになっていく。
「何何、どういうこと?!」
「一体何が起きて…」
「怪我が、治っていく…?」
(は…?どういう事だ…訳がわかんねぇ)
ふとあくあと屋上でした
会話を思い出す
…………………………………
「で、てめぇはなんでこんなところにいるんだよ」
『ちょっと個性の練習をね…』
「個性、歌が?」
『あ、えっと、あーーまあそんなとこ。でもこれ以上は言わないからね!!』
…………………………………
個性…。いや、でも、
あくあの個性は
水を操る個性じゃねぇのか…?
歌うことで、
治癒することができるのか…?
気づけば怪我だけじゃなく
USJ内の崩れた建物や建造物までもが
元の姿に戻りはじめている
それって、思っている何倍も
めちゃくちゃ強い個性じゃねぇか。