第13章 あなたは…誰…?
『ヴィランが私に……何の用?』
「俺は、お前が欲しい」
それは、私が一番恐れていた言葉
(やっぱり、個性、知られてる…?!)
私が欲しい、つまり私の個性が欲しいから
一緒に来いとでも言うのだろう
でも、どうして私の個性を知られてる?
今までずっと情報が漏れないように
気をつけてきたのに。
分からないことだらけで
質問したいことも沢山あるけど
それよりも今は、目的が私なら、
何としても逃げないと
『私の個性……知ってるってこと…?個性が欲しいから一緒に来いとでもいうの?』
「個性…だけじゃない。俺はお前が、あくあ自身が欲しい」
『あの…意味がわかんないんだけど……』
個性じゃなくて、私自身…?
尚更意味がわからない
だってこの零とかいう男に会ったのは
今日が初めてだしなんなら
ヴィランとヒーローって敵だし
私の個性以外なんて何の得があるのだろうか
「…悪いけど長話はしたくないんだよね。さっさと終わらせようか」
そう言った零はナイフを突き刺したのと
反対の手で私の頬を掴む
とそのまま彼の顔が近づいてくる
(終わらせるって、何?!)
頬を掴まれた時に感じた
ゾワっとするような嫌な予感
このままじゃまずいことになる、
そんな気がした
なのに何で個性が発動しないのか
制御とか、そういう類のものじゃない、
私の体が零を攻撃することを
拒否しているみたいだった
同時に不気味な違和感も感じた
零は、性格というか、
何というか、
妙に話し方が一致してない感じ
もうすぐそばにある零の瞳の青色は
闇みたいな色で
このままじゃ私もその闇に
吸い込まれてしまいそうな気がして、
その圧で私はその場から動けなかった
《booom!!》
その時、
横から大きな爆発音が聞こえて
その風圧で零は私から手を離した
「おいてめェ…あくあに手ェ出したらブッ殺す!!」