第13章 あなたは…誰…?
「俺が用あるのはお前だあくあ。俺はお前と話がしたい」
『え……』
(は?!…どういうこと?何で私の名前知ってるの?というか誰?!)
私の中でたくさんの疑問が一気に駆け巡る
私はこの目の前にいる男に
見覚えなんてない
だから何故私と話がしたいのかも
分からないし何より名前を
知られているのが不思議で仕方がない
(どこかで情報が漏れた…?)
もし、この男の目的が
私の個性だったら…
『何で…私の名前…』
「おいてめェ誰だよ。あくあに何の用だ」
『勝己くん…!』
どんどん近づいてくる彼の前に
立ちはだかるように
勝己くんが割ってはいった
「悪いけど君に用はないから、どいてくれる?」
「ンだとてめェ_________」
まるで私以外の人に用はないから
どうでもいいとでも言いたげに、
勝己くんの前に立つヴィランは
不満そうな顔で勝己くんを睨みつける
「そこの君も。……邪魔しないでくれるかな」
「っ…!?」
一瞬何が起こったのか分からなかった。
それほどのスピードで
彼が腰につけていたナイフが宙を舞い
後ろから氷で凍らせようとしていた
焦凍くんの頬をかすめて飛んでいった
ちょっとでも位置がずれていれば
顔面に刺さっていてもおかしくない。
「…ここじゃ話になんねぇな。黒霧、もう他は散らせ」
「分かりましたよ。…全く、貴方も随分と人使いが荒いですよね」
黒い霧を纏っていたヴィランの霧が
一気に大きくなり、
私だけを避けてクラスメイト達を
包み込むように広がった。
何??…一体何が起きて…
『わっ?!ちょ、離してっ…むぐ』
霧に気を取られている間に
私に用があると言った男に後ろから
掴まれて口を押さえられた
そのまま男は腰に巻いていた
捕縛布と似たようなものを
器用に使い遠くへ移動する