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袖触れ合うも他生の縁(銀魂:銀時夢)

第3章 塞翁が馬 〜銀時篇〜


 銀時が浅葱色の服を見た場所に戻るも、当然そこには娘の姿はなかった。周辺にある女の子が好きそうな店も覗き込むが、何処にも居ない。もう家へ帰ったのだろうか。そう思い、この前再会した住宅街の方角へ向かう。事実、浅葱色の服を着た少女を見ただけで、それが彼女である確証はどこにもなかった。江戸ではよく淡い浅葱色の着物を着ていたが、現代でも同じとは限らない。しかし、一か八でも確かめたかった。

 しばらく走り回れば何処からか小さく、ぱんっと乾いた音がした。気になって音のした方に向かえば、寂れた公園が見えた。誰かバクチでも遊んでいるのだろうか、と中を覗き込めば、頭が真っ白になった。

 目に映ったのは探していた少女。しかし彼女は今、二人の不良に衣服を破られ、体を好きなように弄ばれていた。言いようのない怒りが沸き上がってくる。彼女の顔を濡らす涙を見つければ、理性は瞬く間に飛ぶ。気付けば彼女の後ろにいた不良を殴り飛ばしていた。

 「なっ、誰だてめぇ!」

 二人目の不良が叫んだと同時に、少女は地面に座り込んだ。とりあえずもう一人の不良を片付ける為に歩みを進める。

 「誰だって。そんなもん、てめぇが知る必要ねぇ。」

 「ひっ」

 怯んだ不良が逃げ出さないように男の頭を右手で掴む。よく見れば顔に大きな湿布を張っており、制服は間違いなく「都立夜兎工業高校」のものだった。二つの要素をみて、数日前に神楽が言っていた暴漢の話を思い出す。

 「てめえらアレだな。この前も神楽にも手ぇ出そうとしてた連中だろ。あいつに殴られたから懲りたもんだと思ってたんだが、」

 わざと言葉を切って、相手の頭を手で圧迫する。不良が呻き声をあげるのを見て、続きを口にする。

 「まだ痛めつけ足りねえか。」
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