第3章 塞翁が馬 〜銀時篇〜
決意は固かった。そしてスケジュールもきつかった。なにせ、あの3年Z組である。毎日暴走する生徒達の尻拭いで忙しかったのだ。放課後だけでは足らず、ここ数週間は土日も補修があり、担任だからと休み無く学校へ足を運ばされたのだ。労働基準法は丸っきし無視なハードスケジュールである。空いた時間は出来るだけ記憶の無いらしい恋人を探しに行くが、十分なんてたかが知れている。成果はもちろんない。
しかし今週末からはちゃんと休みが取れるはずだったのだ。土曜日はあいにく疲れていて布団からでなかったが、日曜日にはあの娘を探しに行く予定を立てていた。それがあのバカ校長の所為でまた来週に先送りにされてしまった。
学校へ向かう準備をするが、本日登校する生徒は皆無だ。いつもならだらしないながらもワイシャツ、ネクタイと白衣に眼鏡を着用するが、面倒くさいので体育の時間に着る青いシャツと白いジャージですませる。別に目もそれほど悪いわけではないので、眼鏡も家に置いて行く。ポケットに鍵と財布をつっこみ、銀時は学校へ共に行くために月詠と待ち合わせしている駅へと向かう。