第4章 堺
「地図だとここだって
書いてあるな」
『立派なお屋敷だね』
「堺にはこのような屋敷が多いんです
貿易が盛んなおかげで少し
南蛮風に街並みも変えている
そうですよ」
『あ、大きな船があったの
やっぱり貿易船だったんだ』
「はい、信長様も近々
船を買うそうですよ」
『確かに信長様だったら
欲しがりそうだね』
屋敷の使用人が現れ
屋敷の中に案内された
「様はこちらに」
『え?』
「依頼主の方は
とても病弱でして
閨から出られないのです」
『そうなんですね…
秀吉さん、三成くん
それじゃ──』
「この屋敷の中にいるから
何かあったら言えよ」
『うん』
そう言って別れると
少し奥の大きな部屋に通された
コンコン
「失礼致します
様をお連れしました」
「入れ」
「はい、では
様どうぞ中へ」
キィと音を立てて扉が開く
(なんだろう)
少しばかり恐怖心を抱きながらも
部屋に足を踏み入れた
『あ、あの…
依頼をお受けしたです
あなたが──』
窓の外を覗く人の後ろ姿は
なぜだか見覚えがあった
「──ようやく来たか
久しぶりだなあ
安土のお姫さん」
(毛利元就!?)