第3章 別れ
ぽたぽたっ──
『ごめん……っ
ごめんね違うの……
こんなはずじゃ……なかったのに』
目から溢れ出る涙を
隠すように必至に拭う
そのの様子を見て
耐えかねた幸村がぽんっと
頭に手を置いた
「生きてりゃ会える
……だから泣くなよ」
「必ずまた会おう
君が幸せに笑える場所を
見つけられて良かった
生きる意味を見つけたら
教えてくれ」
『う゛んっ』
「あーもう
早く笑えよ」
ゴシゴシと着物の袖で
不器用に涙をふいてくる幸村
『いたたっ
もう……わかったから』
ようやくいつもの笑顔をつくり
今度こそ告げた
『私の居場所はここだけじゃないよ
たくさん思い出をくれた
春日山城のみんなのところも
私の居場所だから…
だからありがとう!!』
「……おー!
じゃあな」
軽く手を振り馬に乗る
「またね
さん」
『うん!またね!!』
馬がかけて
その姿が見えなくなるまで
手を振り続けた
もう涙はかわいていた
別れと共に新しい出会いが
待ち受けているとも知らずに──