第3章 別れ
城門を出た謙信
ふと騒がしい通りに目を配らせると
「いやぁ
安土にも可愛い子が沢山いて困るなぁ」
「そんな…
お世辞ばっかり」
「本当だよ
このまま2人でいいことしよう………」
チャキッ
女の肩に触れる手を
斬り捨てようとしたが
すんででかわされた
「おいおい危ないな
女の子に当たったら
どうするんだ」
「そんなヘマはせん
お前は何をしている」
「何って…
ところ構わず刀を振り回す
男を慰めに?」
「気持ち悪いことを言うな」
「…話はついたか
謙信」
「……
これで二度目だな
大事な女を失うのは」
風を巻き込まれてきた
藤の花が掌にのる
それを優しく包むと
やがて離した
「……その子はまだ
生きてる
まだ守れるさ」
生きている限り会うことが出来る
生きている限り思うことも自由だ
「……酒屋へ行く
付き合え」
「ハイハイ
今回ばかりは付き合うよ」