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戦国怪奇譚〜弐〜

第3章 別れ



生ぬるい風が二人の髪を
なびかせた

謙信の顔は苦いままで
それでも伝えない訳には
いかなかった


『私に恋を教えてくれて
ありがとうございます
……でもやっぱり違うんです』

「違う?
お前への思いに1片の
偽りなどない」

『私はまだ
自分でさえ愛せていません
ましてや自分のことが嫌いです』

「!」

いつもキラキラと光っている瞳には
光の欠片もない

『生きる意味さえ分からないんです
そんな私に貴方を愛する資格は
はないんです』

「……資格などいらぬ」

『…謙信様』

「だめだ……
お前は私の………!」

思わず抱きしめた身体は
相変わらず小さく幼い

だが駄々を捏ねている子供は
自分の方であった

『私はこの時代に残ります
私の生きる意味を見つけるために
見つけられたその時は
きっと初めて誰かを愛せる気がするんです』

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