第3章 別れ
藤の木から姿を現したのは
色素の薄い髪に
オッドアイの武将だった
『……謙信様!』
慌てて立ち上がって
駆け寄る
『ここ安土城ですよ!?
どうやって……
まさか間違えたんですか?
見つかる前に早く出ましょう』
「間違えるわけないだろう」
『じゃあ佐助くんを脅して
忍び込んだんですか?』
「お前は俺をなんだと思っている」
『……私のことを心配して
敵である城に通いつめるくらい
優しくて困った人です』
「っ!……知っていたのか」
『すみません
何話したらいいのか
分からなくて…』
(私はこの時代に居ることを決めた
きっとそれは佐助くんから
聞いてるはずだ)
だから話すことは──
『……別れましょう
謙信様』