第1章 任務
◇◇◇
三階までエレベーターで昇ると、
予想していた通り、先ほどと同じような呪霊がうじゃうじゃといた。
「伊地知さん十数匹って言ってたけど、それ以上だな」
虎杖の呟きに明月は頷く。
そう話す間にも、虎杖の横側からすり抜けて
明月を襲ってきた呪霊を、明月はナイフで切りつけた。
明月は、虎杖の肩越しに長い廊下の奥を眺める。
呪霊は、まだ数十体は残っていそうだった。
(……。)
そういえば、さっきから虎杖はずっと自分の前方を守っている。
ふと気になって、虎杖の背中に明月は問いかけた。
「あの、一応聞きますけど、かばって戦ってます?」
疑問符を投げかけた明月に虎杖ははっきりと答えた。
「もちろん!」
「ええ、なぜ……?」
「だって先輩弱そうなんだもん。見た目とか(釘崎の方が強そう)」
がっくり意気消沈する明月。
「これでも準一級呪術師なんですけど……」
落ち込む明月を後ろに虎杖は呪霊をパンチで吹っ飛ばした。
と——ちょうどその時、廊下の両側にある窓ガラスの片方が
外側からガシャーンという大きな音とともに砕け散った。
二人ははっとしてそちらの方向に目を向ける。
「外にも呪霊が!?」
刹那、窓ガラスを大きな黒い影が横切った。