第1章 任務
◇◇◇
近くの喫茶店で時間をつぶした三人は、
夏の日が暮れ始めた頃、灰色の大きな建物を外側から周り、奥の旧館へと向かった。
伊地知は建物の入口で待機し、
虎杖と明月の二人が建物の中へと入っていった。
無人になり薄暗くなった館内を歩きながら明月が言った。
「伊地知さんの話だと三階に何かがありそうですね。
エレベーターで向かいましょうか」
「オス!」
二人は、デスクが密集して並べられたコーナーを横目に、エレベーターのある柱の方へと向かう。
エレベーターの前で立ち止まって、[3]のボタンを押した。
エレベーターが下降する音が聞こえ、
自分たちがいる一階に到着してドアが開いた。
——その時だ。
エレベーターのカゴの中から透明な羽の生えた、何かが飛び出したのだ!
「呪霊ッ!!」
明月は咄嗟にベルトからナイフを取り出して構える——!
——より早く、虎杖が明月の一歩前に出て、襲いかかってくる呪霊にハイキックを放った。
(なんて瞬発力……!)
唖然としている明月に虎杖は振り向いて言った。
「行こう、三階に! 明月先輩!」
「……ええ!」