第1章 任務
「さぁ、そう話している間に到きましたよ」
伊地知がそう言って、虎杖と明月の二人が見上げると、
そこには大きな建物があった。
建物の造りは古く、年季が入っている様子が分かる。
「はい、ここが今日の現場です。見ての通り大きな建物で、
旧館と新館に分かれているのですが、事件があったのは奥の方の旧館です」
「事件というのは?」
明月が聞く。
「ええ、旧館三階で働いている従業員の方々が
体の不調を訴えられて次々と倒れているそうなのです。
ここ一週間くらいのことですね」
「ヨシッ! 気合入った! じゃあ、さっそく行こうよ!」
「虎杖君、まだ少し早いのです。
従業員の方々が退勤した十八時ごろに建物の中に入りましょうか」
伊地知の言葉に拍子抜けしてしまった虎杖だった。