第3章 映画
小さなマンションの前まで送ってもらって、明月はお礼を言った。
「今日はありがとうございました」
七海は申し訳なさそうな表情を浮かべる。
「お世辞にも、楽しい映画ではありませんでしたね。
まあ五条さんが選んだ作品を信用した私が馬鹿だったわけですが」
「……あ、でもまた七海さんと一緒に行けたら嬉しいです」
「それは嬉しいですね。お互い都合が合えば」
「そうだ。少し寄っていきますか? 小さな部屋ですけど、」
「……。」
沈黙する七海。
「あ、ごめんなさい、やっぱり駄目でした(散らかってる)」
七海がフゥとため息をついた。
「……明月さん、いくら仕事の付き合いとはいえ、男を簡単に部屋にあげるのは感心しないですよ。
もう少し緊張感を持ってください」
「え…! そこまで考えていませんでした、ごめんなさい」
明月は顔から火が出そうだった。