第3章 映画
そういえば七海は映画が怖くなかったのだろうかと思った明月は、七海に質問した。
「映画、怖かったですか?」
「いえ、それほどは」
少し間を開けて、明月は質問を変えた。
「七海さんは……呪いを怖いと感じたことはありますか?」
「仕事ですので。そのような感情を抱いたことはないですね」
七海は単調に答えた。
たしかに、七海が呪いを怖がっている姿はちょっと想像ができなかった。
「私は、学生の頃は怖かったんですけど、
呪術師になって働きだして、いつのまにか感覚が麻痺してしまったのかな。
慣れてしまいました」
「そうでしたか」
「でも、今日の怖いはまた別物みたいです」
七海はふ、と笑う。
「まあ、私もいますし、明月さんも準一級呪術師です。
何がでても大抵はなんとかなりますよ」