第3章 映画
——夜。
映画館を出た帰り道。外はすっかり暗くなってしまい、明月はおどおどした様子で歩いていた。
(わあ、怖い……!
そこの電柱の陰から何か出てきそう。
一人で帰るなんてそんなのホラー……)
七海がそれとなく気づいて言った。
「……。送りましょうか」
明月はびくっとして驚いたあと、七海の方を向いて言った。
「は、はい。ありがとうございます……。お願いします」
こつこつと靴の音がひびく。
七海は、仕事ではさっさと歩いて、歩幅が自分より大きいと思うのだが、
今日は歩くスピードを合わせてくれているのだろうか。
それにしても、映画がとても怖かった……。
今日の映画を思い出し、背筋がぞっとするのを感じる。