第1章 任務
◇◇◇
窓から廊下に戻ると、廊下にいた呪霊たちはいくらか数が減っているようだった。
二人は廊下を飛んでいる呪霊を祓いながら奥へと進んだ。
奥のスペースには、一階と同じように机と椅子と印刷機器が並べられて、
それぞれいくつかの区画に仕切られていた。
明月はここで不思議に思った。
この執務スペースに入ってからは、呪霊が一匹もいないのだ。
二人はこれをチャンスと考えて、
執務スペースのさらに奥まった場所にある、
採光用の小さな窓が取り付けられた、
小さな部屋へと向かった。
明月はそこから呪いの気配を感じていたのだ。
バンっと軽量な造りのドアをあけて中に入ると、
部屋の隅に、確かに大きな何かがいる。
その『何か』は、口元に笑みを浮かべてこちらを見ていた。
ぎょろっとまわりを見わたす目、尖った鼻、鋭い歯——
まるで大きな魔女のような風貌だ。
「先輩、こいつって……」
「ええ……。呪いよ!」