第27章 沖田総悟《ドS彼氏と毒舌彼女》
何これ! 怖!!
呪いのように繰り返される同じ文字。
お妙さんとは、人の名前だろうか。
名前の羅列だけで願いですらない。
そして最後に、記入者と思われる名が書かれていた。
――真選組局長・近藤勲
この呪いの短冊を書いたのは、ここ真選組のトップ人物らしい。
真選組に対する私の株はますます暴落した。
今度こそ帰ろうと思ったが、隣の短冊が目に入ってまたも目を奪われてしまった。
そこにはこう書かれていた。
『世界一のメス豚を育てられますように』
表に記入者が書かれていなかったため裏返してみると、そこにも願いが書かれていた。
『あと土方が死にますように
テメーが死ね沖田』
短冊の使い方おかしい!
この界隈には変な人間しか生息していないのだろうか。
そう思いながら短冊に目を落としていると、横から声をかけられた。
「人の願い事、ジロジロ見てんじゃねー」
振り向くと、白い着流しの男が立っていた。
「人の願いって……コレ?」
メス豚だの死ねだのと、物騒な願い。
どんな人間が書いたのかと思えば、随分と若い、爽やかさすら感じさせる男だ。
「沖田隊長」
門前にいた地味な男が着流しの男に声をかけた。
沖田隊長。――隊長?
その男も真選組の隊士だった。それも、幹部クラス。
私の真選組株は地の底まで落ちた。