●○青イ鳥ノツヅリ箱○●【イケシリ短編集】(R18)
第1章 Last Supper〈イケ戦/政宗/元就/現パロ〉
「その顔、悪戯やらかす照月そっくりだ」
「誉め言葉です。あ、美弥ちゃんこの先生ね。この顔ですっごくかわいいトラネコ飼ってるんだよ」
「あはは、似合わなーい」
「うっせ!早く行け!」
「うわ、聞いた?怖いねぇ。怖い先生はほっといて、早くお父さん所に行こうねぇ」
二人クスクス笑い声を上げて歩いていくその背を、伊達医師は笑顔のまま見送っていた。
「先生…ありがとうございます」
母親が、伊達医師に対して頭を下げる。
「…手は、尽くしたのですが…」
言いかけ、はっと小さく短く、息を吐いて口角を上げた。
「できる限りのことは、やらせていただきます」
「主人のこともですけど、あの娘のこともです」
伊達医師の胸中を救うように、母親が微笑んだ。
「あの娘の笑顔、久々に見れました。あの人にも見せてあげられる…」
覚悟を秘めたその瞳に、伊達医師の顔から笑顔が消える。
頷いて、ただ静かに母親を奥の部屋へと促した。