●○青イ鳥ノツヅリ箱○●【イケシリ短編集】(R18)
第8章 今宵は桜の木の下で…〈源氏伝/鞍馬/NL〉
その手に、鞍馬の手が重なる。
満留の腕を辿り、頭の後ろへ回り、そして満留の体を引き寄せる。
その胸の中に、華奢な満留の体を抱きしめた。
「くだらぬことを考える…お前の全ては俺のものだと、何故理解しない。お前の体も、魂すらも…永遠に、手離すわけがないであろう」
「……え?」
胸の中、驚いた満留の顔が鞍馬を見上げた。
あどけないほど、純粋なその瞳に鞍馬の笑みが映る。
「離しはせん。お前の体がいつか朽ちる日が来ようとも……お前の魂は、俺が頂く。お前が望まずとも、永遠に、お前と共にあろう。
……不要な不安を幸せの糧などにするな」
満留の頬を、鞍馬の指が優しくなぞる。
美しく流れる満留の涙を拭った。
「…ずっと、一緒にいられるの?」
「無論だ」
「そうしたら、鞍馬はずっと、寂しくない?」
「そんな感情は、俺は知らん。……お前が、俺に教えなければな」
鞍馬の指が、満留の唇をなぞる。
「ん…っ」
唇が、重なり合う。
「…ぁ、は…っ」
重なり合い開いた口唇に鞍馬の舌が滑り込み、満留の舌を絡めとる。
そして全てを奪うように、口腔内を荒々しく蹂躙される。
その間にも、鞍馬の手が満留の背を抱き寄せ、柔らかに撫で降りていく。
口付けで蕩けて力の抜けた躰は、鞍馬の手の行き先を察して期待にびくりと震えた。
涙に滲む瞳に、熱を宿した鞍馬の紅い瞳と、神々しいまでに咲きほこる桜が映る。
「く…ら、ま…っこんな、ところで…ぁうっ」
鞍馬の唇が満留の首筋を伝い、襟をかき分け、鎖骨に歯を立てた。
「ここだからこそ、意味がある」
「なんで…っぁ…」
問う間もなく、満留の口から甘い吐息が再び漏れた。
鞍馬の口付けは容赦なく満留の襟を広げ、皮膚の薄いところを甘く吸い上げていく。
その度に躰を震わせ、力が抜けるその隙に、帯を解かれ、身に付けるものが一枚、一枚剥がされていった。