●○青イ鳥ノツヅリ箱○●【イケシリ短編集】(R18)
第4章 Sing a song 第二幕〈イケ戦/顕如/信玄/BL〉
信玄の顔を手で押しのけながら、ちらりと見えたその胸元に視線が止まる。
そこに結わえたネクタイに、見覚えがあった。
「It's my tie!」
思わずそのを握りしめると、信玄の顔が近づき、まるで俺が引き寄せたような体になる。
「”いつも会いたい”?いきなり嬉しいことを言ってくれるなぁ」
ニヤニヤ笑いが近づいてくる。
何を言ってるんだ、この男。
いや、そんなことはどうでもいい。
なぜお前がこのネクタイを…同じものを持っていたなどと都合のいいことは言わせない。
そんな大量生産されたものを選ぶような子ではないのだ、蘭丸というあの可愛い子は。
そんな子だから、たまにはゆっくり休ませてやりたいと…
……あ。
「……Take a ticket.」
途端に信玄の顔がシュンと、うなだれる。
「”ていうかあっちいけ?”なんだ、ずいぶんだな。情緒不安定か?」
寝不足なんだよ、寝かせろ。寝れん。
終わりのない不毛の勝負にはもう、終止符だ。
「I surrender…」
これでいいだろ。
どうやら意味は通じたらしい。
信玄が驚いたように、一瞬目を見開いた。