●○青イ鳥ノツヅリ箱○●【イケシリ短編集】(R18)
第1章 Last Supper〈イケ戦/政宗/元就/現パロ〉
―――ピッ…ガシャン。
「――あっつ」
そう言わしめる熱々の缶コーヒーを取り出して、伊達医師の背が廊下を歩く。
冷ますように、缶を宙に投げては受け止めながら、人気なく薄暗い階段を上っていく。
上るにつれて徐々に再び明るく、茜色に染まり始める。
夕焼け色の”関係者以外立ち入り禁止”の脇を過ぎ、やがて屋上へ出る扉に行きついた。
ドアの取っ手に手をかけた時、耳に微かな声を捉えた。
それは堪えるように小さな、泣き声。
取っ手を握ったまま、俯いた伊達医師の目を髪が覆う。
その姿のまま動かず、動けず。
ただ、権利であるかのように、声に耳を傾け続けた。