第6章 出会ってしまったひとりと一振り 〔肥前忠広〕
「全く歯が立たなかったなぁ…」
審神者がブースの中で呟くと、こんのすけが言う。
「現在の本丸の能力が少しはおわかりになったと思います。この戦いは何度でも見る事が出来るので、本丸に戻られてからみなさんで検討しうる材料になります」
「うん、そうだね。とにかくがんばったみんなを労りたいな」
「はい、是非そうしてください」
こんのすけが審神者の言葉に頷き、審神者とこんのすけはブースを出、すると転送された刀剣男士たちも戻ってきた。
「勝つ難しさがよくわかったよ」
戻ってくるなり歌仙がマントをひるがえして言ったので、審神者は急いで口を開いた。
「みんな、おつかれさま。今の内容は本丸で見られるから後で反省会しよう。私もみんなをどう配置するとか、まだまだ考えなくちゃならないし」
「うん、そうしたい。次は絶対勝ちたいもん」
乱も長い髪の一束を指先に巻き付け、くるくると指をまわす。
その表情はいつも笑顔の乱にしては珍しく口をヘの字にしており、やはり悔しい思いが強いのだろう。
「席にとにかく戻ろう。次の対戦も見なくちゃ」
ぞろぞろとその部屋を出ると、ちょうど対戦相手も出てきたところで、審神者は急いで礼を言う。
「今日はありがとうございました。これからまた鍛錬します」
すると相手の審神者がにこりとして言う。