第7章 出会ってしまったひとりと一振り 〔肥前忠広〕
前回同様に鍛刀部屋へ入室して出てきた大和守が広間に戻り、待っていた皆へ時間を告げる。
「40分だよ。脇差だね。」
「短刀か迷っていたけれど、今回は脇差にしたんだね」
鯰尾が言うと歌仙が続けた。
「まぁ今回はすぐ結果が出るから、このままここで待とう」
そのまま広間で待機し、終了時間近くにぞろぞろと男士たちは廊下に移動し待っていると、鍛刀終了時間と同時に内側が光り桜の花びらがふたひら舞ってきた。
「今度は誰だろう…」
障子が開いて審神者が出て来たが、「へへへ…」と苦笑いしながら出てきたので、歌仙はまゆをひそめて「どうしたんだい?」と即座に聞いた。
「いや…脇差なんだけどね…」
審神者は後頭部を左手でかきながら「どうぞ」と鍛刀部屋の奥に声を掛ける。
奥から現れたのは、柔らかな印象の少年から青年になりかけの姿の男士だった。
「物吉貞宗と言います。今度は貴方に幸運を運べばいいんですか?」
宗三は驚いて声をあげる。
「すごい…一期一振といい、今度は物吉貞宗ですか…」