第6章 出会ってしまったひとりと一振り 〔肥前忠広〕
「璃杏さんの手が堂々と握れるのはこういう時くらいだからね」
「おおう、そういう答えが来たか」
大袈裟に驚いてみせる審神者に鯰尾や乱があはは、と笑う。
「今の人に初心者本丸って言われたんだ。つまり本丸にもレベルがあるってことだよね?」
歩きながら審神者はこんのすけに尋ねる。
「勿論です。上級者の本丸になると刀剣男士も多く、大所帯で毎日にぎやかだそうですよ」
こんのすけは他の管狐から聞いた情報を伝える。
「なかなか顕現しない男士も大勢いると聞きます」
そう言ってから、そうだ、とこんのすけは付け加える。
「先程の受付していたのも刀剣男士ですよ」
聞いて審神者は「えぇ!?」と驚き、目を丸くしてこんのすけを見る。
「政府所属の山姥切長義と言いまして、ある任務を終えないと本丸にはやって来ないのですが…こちらの本丸にはまだその任務は難しいので、彼がやってくるのはもう少し時間がかかりますが…」
「任務?」
こんのすけの言葉に乱が聞く。
「はい。長期遠征のひとつです。一部隊を政府からの要請で決まった年代に送り込み、そこで依頼された任務を終わらせられるかどうか、というものです」
「長期遠征…」
鯰尾もどういうことかわからないと言わんばかりにつぶやく。