第6章 出会ってしまったひとりと一振り 〔肥前忠広〕
「うちの審神者様が早く理解してくださって良かったです。審神者様にはなかなか難しい気質のかたもいらっしゃると、仲間から聞いておりますので」
「難しい気質ってどんな感じなの?」
審神者は首を傾げ、こんのすけは小声で教える。
「それはそのぅ…同じ時期に審神者になったかた同士で、どちらのレベルが上かと争うかたもいらっしゃいまして…あきらかに審神者様の霊力に差があれば揉めることはありませんが、同じくらいですと刀剣男士の育てかたの上手下手もあるため、だんだんと差が開いてくるのですがそれを認められないかたもいて、そうすると演練で負けるとご自身のせいではなく、刀剣男士のせいにするかたもいらっしゃるのです」
「それ、ひどぉい」
乱が口をとがらせて抗議をするように言うと、こんのすけは急いで付け加える。
「そういう審神者様の言動は全て記録されておりますので、あまりに頻回であるならば審神者失格として、審神者の記憶を消して元の世界に戻してしまいます」
「あ、そういうこともあるんだ」
審神者はこんのすけを見ると、こんのすけは目線を下にやり、ふぅと息を吐く。
「一応こういったことについては、審神者になられる前にお伝えしていると思いますが」
それを聞いた審神者はあはは、と照れたように笑う。
「ごめんね、こんのすけ。聞いたかもしれないけれど、忘れたわ」
「…そうだろうと思いました」
こんのすけはもう一度顔をあげると審神者にきっぱり言う。
「政府は刀剣男士を守る立場でもあります。よって審神者様が刀剣男士にあまりに暴虐的なことをなさる場合、審神者様は審神者でいられなくなり、その本丸は解体する可能性もございます。その点は理解してください」