第6章 出会ってしまったひとりと一振り 〔肥前忠広〕
「うちのこんのすけと、他の本丸のこんのすけはどうやって区別をするの?」
「よくぞ聞いてくれました」
こんのすけはその質問を待っていたように、一度嬉しそうにぴょんと跳ねた。
「本丸にいるときは私だけなので出ませんが、演練のように他の本丸の管狐が複数近くにいると、私どもの額部分にそれぞれ数字が浮かびます」
「数字?」
「はい、主様の本丸の数字は91。この数字が浮いている管狐が私です。お間違えないようお気をつけください。私たちも必ず審神者様の側にいるとは限りませんので」
「91…つまりこの本丸は91番目ってこと?」
審神者の疑問は続く。
「いいえ、そうではありません。運営中の本丸は、審神者様が引退されたり、辞退されたりして審神者様が変わる事があります。そうなると新しい数字を、新しい本丸に割り当てます。ですから出来た順番の数字では有りません」
こんのすけは続ける。
「順番通りでない為、各本丸のレベルが順番通りではないのも審神者様には都合がよろしいのです。順番通りですと互いのレベルがはっきりわかってしまいますし、また審神者様の霊力の差もございます故、どうしても刀剣男士のレベルにも差が出てまいります。更に、もし、順番通りになっていると、刀剣男士のレベルの差で審神者様の霊力に甲乙をつけ、優位に立とうとする審神者様も、なかにはいらっしゃいますので…」
こんのすけの語尾が下がっていくのを聞きながら、審神者はなるほどと理解する。
「確かにみんながみんな、よそはよそ、自分は自分って考えにはならないよねぇ…」
審神者がうなづくと、こんのすけはほっとした様子をみせる。