第6章 出会ってしまったひとりと一振り 〔肥前忠広〕
そして演練の日がやって来た。
「ねぇ、歌仙さん、これで良い?」
娘は審神者らしく、いつもの現世へ仕事に行く時の服装や本丸で過ごすジャージ姿とは違う、着物姿での動作にてこずっていた。
「あぁ、雅で良いね」
歌仙は戦闘姿で、審神者の着物姿を見てにっこりする。
「璃杏さん、可愛い」
乱がすばやく審神者の姿を見て褒める。
「ありがとう。着慣れないから恥ずかしいんだけどね」
照れながら審神者が答えると、鯰尾がすっと手を差し出した。
「璃杏さん、手をどうぞ。転ばないように俺が支えるよ」
タイミング良く手を差し出され、審神者は目を丸くする。
「ずおくん、かっこよすぎ」
「へへっ、そう?」
満面の笑顔で鯰尾は答え、そして演練会場へこんのすけの案内で向かった。
その途中、こんのすけは注意事項を説明する。
「会場には私たち管狐であるこんのすけが本丸の数だけいます。私をどうぞ、他本丸のこんのすけとお間違いにならないようにしてください」
こんのすけに注意され、審神者は質問した。