第6章 出会ってしまったひとりと一振り 〔肥前忠広〕
「あ、もうこんな時間だから今日はここまで。明日も私は元のところで仕事に行くからもう寝ないと」
「そうだね、今日はもう休まないと。夜更かしは璃杏さんの美容の敵だしね」
乱がくすくす笑いながら言い、全員で広間を片付けて「おやすみ」とそれぞれ部屋に戻った。
私室に戻る途中で審神者は廊下から空を見上げる。
『まだまだ小さいけれど、良い男士たちで良い本丸になりそう』
そしてふと、出会った男士を思い出す。
『あの男士、何て名の刀なんだろう。あんなにきつい表情で、もしかしたら刀の頃に重い役目を背負ってきたのかな…』
明日もまだいるのかなぁ、そう思いながら審神者は寝支度をして布団へ入った。
いつもとおり朝が来て、審神者は元の時代の職場へ出勤をする。
まだ本丸が小さいため、現代の世でも並行して働いているのだ。
もう一部隊が作れるくらいに男士が増えたら、審神者に専念しようかなと思いつつ、現世の全てを手放すことも惜しくて、なかなか辞めるきっかけが出来ないのだった。
「いってきます」
「いってらっしゃい」
乱たちに送られて現世へ出勤する審神者は、転送装置を使って移動する。
現代では職場近くのひとめにつかないところに到着するように設定していて、今朝もその到着点に姿を現す。
「今日も無事に到着っと」