第6章 変わった出陣2 〔山姥切国広/山姥切長義〕
「あそこは特殊な場所だ、と主から聞いた」
ぼそりと偽物くんが口を開いた。
「特殊な趣味を持つ人間達が集まり、その趣味を楽しむ場所だそうだ。人間が俺達の恰好を変装するところでも有ると言っていた」
「…変装はわかったが、何故俺達の恰好なんだ?」
俺が問うと偽物くんは布を深々とかぶりながら答える。
「…俺達がかっこいいから…だそうだ」
「…か…」
わかったようなわからないようなその答えに、鶴丸がふはは、と笑って更にぐいと大倶利伽羅の肩を引き寄せる。
「かっこいいか。なおさら俺と伽羅坊も出陣しないといけないなぁ?」
「だから慣れあうつもりはない」
鶴丸の手を跳ねのけながら大倶利伽羅はぷいと横を向く。
「まぁ、あそこへの出陣は滅多に出来ない状況に置かれるということだよね」
燭台切の言葉に俺は頷いた。
しかし、現代の人間達は平和だという事がよくわかった。
俺が作られた時代では考えられない、己の趣味に没頭することが出来るのだからな。
「…主に鶴丸と大倶利伽羅が出陣したがっていると伝えておこう」
偽物くんが主へのずんだ餅を手にして、立ち上がる。
この二振りが出陣するのは、もう少し後になってから実現する…
<終>