第6章 出会ってしまったひとりと一振り 〔肥前忠広〕
そして食事の時に、審神者は改めて六振りに演練の事を伝え、今回は初めての参加なので勝ち負けにはこだわらず、各自で目的を持って挑んで欲しいという事を述べる。
「ごはん食べたら資料を運ぶから、必要なところを確認してね」
各男士から返事が有り食事を済ませると、早速審神者は鯰尾に手伝ってもらい広間へ資料を運びこんだ。
その間に歌仙はお茶を淹れ、乱は茶菓子を用意し、広間は食事の時の和気あいあいとした雰囲気から、すっかり演練のための作業をする場へと変わった。
「璃杏さん、この事についての資料ってどのあたりに有る?」
「あ、それはあの赤いファイルに閉じているはず」
「わかった、ありがとう」
時折そんな会話が聞こえてくる以外は、皆、静かに中にはぶつぶつ言いながら調べていく。
「ねぇ、ごめんね、作業中に。陣形について聞きたいんだけど」
審神者が途中口を開き、手を止めて全振りが審神者を見る。
「うちは打刀が三振り、脇差が一振り、短刀が二振りで、初心者本丸としては一般的だと思うのね。だからオーソドックスにいったほうが良いと思うんだけど」
「それはそうかもしれないけれど、一般的な陣形だと相手にわかられやすいんじゃない?」
打刀二振り目として顕現した大和守安定が、持っていた資料をトンと座卓に置き直して言う。
「変わった陣形はぼくたちがもっと強くなってからでも良いと思う。まずはよくある形でも勝てるようにならないとね」
歌仙が言うと大和守は「なるほど、そっか」と納得し、対戦時の陣形を決めた。
どこに誰を配置するかという話しをしている最中に審神者が気付く。