第6章 出会ってしまったひとりと一振り 〔肥前忠広〕
全員で首を傾げ、結論としてそのうち演練に行くだろうから、その時同じ男士を見付ける、ということで話しは終わった。
その機会が早くも訪れる。
時の政府のお遣いも兼ねるこんのすけが知らせる。
「主さま、政府より連絡です」
「ありがとう、こんのすけ」
審神者は連絡事項を開き内容を確認すると、「わぁ」と驚いたようなひとことを発した。
そして立ち上がるとぱたぱたと音を立てて本丸の廊下を走り、台所にいる歌仙へ声を掛けた。
「歌仙さん、大変。演練の連絡が来たよ」
手伝っていた鯰尾がぱぁと目を輝かせる。
「いよいよ俺たちも演練に参加出来るんだ」
「うん、まだ初級者レベルの参加になるけどね。今回は初めてだしフォーメーションの確認と、それぞれが持つ刀装をどれにするか試してみたいと思うんだけど、どうかな?」
「あぁ、それで良いと思うよ。僕たちも初めての参加だし、それぞれの技量についても他の本丸と手合わせすることで知ることも出来るからね」
歌仙がごまをすりながら答える。
「じゃあ他のみんなには、食事の時に私からきちんと説明するね。それから食後に資料を運ぶから、各自で目的を持って臨むことにしよう」
審神者の言葉に歌仙は快く返事をし、鯰尾は包丁を動かす手を止めてにぎりこぶしを作る。
「演練、楽しみだなぁ。早く戦ってみたい」