第6章 出会ってしまったひとりと一振り 〔肥前忠広〕
「え…他の本丸の刀に?現代で?」
目を丸くして審神者の隣に座る脇差の鯰尾藤四郎が言う。
「うん、見た事ないから何て刀なのか知らないけどね」
「どんな姿だったか覚えてる?」
歌仙に聞かれて審神者はうーんと口をへの字にする。
「ええとね…髪の毛は黒と赤の二色だったよ。赤のメッシュ入れてるのかなぁ」
「髪の毛が黒と赤ねぇ…黒髪の男士は何振りもいるから…声は大きかった?あと服装はどんな感じだったかわかる?」
「声は大きくなかったよ。服装は今風だったけれど、戦闘の姿に変化したのはかなり離れてからで既に暗かったからよくわからないなぁ」
審神者の即答に歌仙は首を傾げる。
「さぁて、いったい誰なんだ…」
「他には特徴はなかった?」
鯰尾に聞かれ審神者は首を傾げる。
「うーん、全体的に細身できつい感じだったなぁ」
「誰だろうね…」
男士たちは皆考え込み、審神者はまた気付いて発言する。
「あ、刀らしいものを持っていたから、槍や薙刀ではないのは確かだよ」
気付いて審神者は言うものの、鯰尾が呆れたように返す。
「いや、刀だけで何振りいると思ってんだよ…」