第6章 変わった出陣2 〔山姥切国広/山姥切長義〕
「…意味がわからん」
偽物くんの言っていることが理解出来ず、俺はまゆをしかめる。
すると偽物くんはポケットから小さな懐中時計を取り出した。
「その時計は…」
俺がその時計に気付くと偽物くんは動作させるスイッチを押した。
途端、それまでざわついていた周囲がぴたりと静かになる。
「人間達の時間を止めた。今のうちに時間遡行軍を倒す」
時間遡行軍もこの時計の存在に気付くと、周囲の人間達をかきわけながらこちらに向かってくる。
「結界陣」
偽物くんが主からもらっていたらしい札を空へ飛ばすと、俺達や時間遡行軍の周囲に白濁した幕のようなものがかかり、近くにいた人間達の姿が霞のようになる。
この札は俺達刀剣男士と時間遡行軍にだけ効く結界を張るもので、近くにいる人間を巻き込まないようにするための審神者特製のものだ。
時間遡行軍がきょろと結界を気にする様子を見せたが、すぐどういうものか理解したようで刀を抜いた。
俺達も再度抜刀し、偽物くんが結界の左側からで俺が右側からと回りこみつつ、時間遡行軍を一体ずつ倒していった。
結界のおかげで人間を巻き込まずに時間遡行軍を倒し、俺達のこの時代での任務を終える。
「戻ろう」
偽物くんの言葉で結界陣を解き、時間を動かすスイッチを入れると共に俺達はその場から消える。