第1章 ぼくを困らせる可愛い主 〔にっかり青江/R18〕
「…青江さん、増えてる?」
一人で出来ると言っていた仕事が終わったらしく、ぼくが審神者部屋へ呼ばれて行くと、ぼくの後ろにいるものに気付いて璃杏は聞いてきた。
「さっき庭の柳の木の下にいたのを拾ってしまったよ」
仕方なく答えると璃杏は首をかしげて言う。
「気になるなら石切丸さんに祓ってもらいます?」
「それもすぐ考えんだけど、まぁ、悪さをするわけでもなさそうなので、しばらく様子見するよ」
ぼくが祓う気が何故か無いことに不思議そうな表情を見せるものの、それ以上は問い詰めることもなく璃杏は言う。
「じゃあ、祓って欲しくなったら石切丸さんに直接お願いしてね。私から石切丸さんに話しはしておくから」
「あぁ、そうするよ」
「おや、あちらの女性も自分が見えるようですね」
幽霊はぼくに話し掛ける。
きょとんとして璃杏はこちらを見ているだけなので、話しまではわからないようだ。
「彼女にはきみが視えているだけのようだね」
ぼくが状況を答えると幽霊は興味深そうに言う。
「ほぅ、視えてるだけでも良い。あの女性は可愛いしなにより良いからだをしている」
幽霊を見ると、それは最初に見た時は全く違う卑しい目付きで、璃杏を舐めまわすように眺めていた。